■取材記事に見る「岡田 正二」
  ※記事は「聖母の騎士」2003年10月号に掲載された記事を引用しています。

「ようやく念願でありました長崎と天草の全教会の絵をインターネットのホームページに掲載いたしました。」
 こう喜びを語るのは熊本県玉名市に住む岡田正二さん。絵は子どもの時から好きだった岡田さんだが、本格的に描き始めたのは、62歳になってから。「二科の先生の塾に入って勉強し、初めての入選作が「樹表」という抽象画でした。この50号の絵は、熊本中央信用金庫の理事長室に飾ってあります」
 二科展に数回出展して、何を題材にして描くか苦労している時、出会ったのが天草の崎津天主堂だった。「西海の天主堂」というタイトルで出展した絵が、見事に入選。長崎で手に入れた「長崎の天主堂」という本で、長崎県に多くの天主堂(教会)があることを知り、教会巡りを思い立った。しかし、長崎県の教会を回るのは、楽ではない。「長崎の教会は街中にあるもの、海岸や岬にあるもの、山の奧にあるものといろいろな場所に点在しています。交通の便の悪いところもありますから、大変でした。教会の近くまで行って、尋ねても尋ねても所在地が分からず、引き返したこともあります。また、ある時は道に迷って、とんでもない山奥に入り込んだりした苦い経験もありました」
 岡田さんが長崎県のすべての教会を描くことを決めてスケッチ旅行を始めたのは1990(平成2)年、67歳の時だった。70歳を超えてからは夫人と二人で教会巡りを続けた。長崎県のすべての教会、143ヶ所と熊本県天草の教会4ヶ所の全147ヶ所の教会を描き終えたのは2000(平成12)年だった。1ヶ所1ヶ所、船や車で移動しながらの写生だから、簡単ではない。丁度10年を費やし、77歳になっていた。
 長崎の教会を描いて飽きないのは、一つ一つの教会の形が全部違っていることに面白さを感じるからという。
 「上五島では、離島でありながら、こんなに多く、しかも立派な教会があるのに驚きました。もっと多くの人に見てもらいたいと思いました」
 岡田さんが今取り組んでいるのは、上五島の青砂ヶ浦教会の絵。レンガ造りの外観と内部の構造を一面に描こうと苦心している。これからも教会の絵を描いていきたいと思っている。
 ことし8月、長崎と天草の教会の絵をインターネットで発信したばかり。まだ、反響らしい反響はないが、1人でも多くの人に見てもらいたいと願っている。